ハリつな

エロゲ―の感想や小説の感想や雑記などのブログです

ワンコとリリー 感想

『私はトノイケダイスケさんが大好きだ―――!!』

f:id:maimai-after:20210609180147p:plain

 CUFFS 、恋愛アドベンチャー
原画:桜沢いづみ、シナリオ:トノイケダイスケ

 

―あらすじ―

STEP1.『数年かぶりに戻った実家…』
----------------------
そこで僕を待っていたのは
何も変わらず居心地の悪い空間
冷たくなった父、幼なじみの透子さん
それから──小さなワンコ

大嫌いだった父から、ペットを苦手とする僕への
それが最後の置きみやげ。


STEP2.『僕への置きみやげは…』
----------------------
わんわんと泣くばかりのやかましくうっとうしい
僕のもっとも苦手とするタイプであるところの
その迷惑な忘れ形見を
けれども僕は捨て去ることができなかった
泣く子には勝てないということなのか
透子さんのお願いだったからなのかはわからないけれど…

とにかく今、僕の傍らには、泣き虫なワンコの笑顔がある

 

 


―キャラクター紹介―

f:id:maimai-after:20210609180018p:plain

透子(とおこ)
『二つ年上の幼なじみ。』

穏やかで女性らしい性格の持ち主。
二つ年下の友人であり主人公のことは実の弟のように可愛がっており、
また、もっとも身近で気軽に接することができる男性として信頼してもいる。

その強い信頼感から行き場を無くしたワンコを彼に預けようともする。

 

f:id:maimai-after:20210609180122p:plain
ワンコ(わんこ)
『バカで泣き虫で甘えん坊の犬。』

主人公の父が生前どこからともなく拾ってきた子で、透子の強い希望もあって「ペットは苦手」と公言する主人公に預けられることになる。
甘えん坊で泣き虫、好奇心旺盛でそのくせ臆病と手のかかる性格をしている上、凶器じみた強烈な泣き声の持ち主でもあり、日々主人公の頭を悩ませている。

 

f:id:maimai-after:20210609180050p:plain
リリー(りりー)
『透子と暮らす犬。』

元々は透子の手により育てられていた商品で、色素の欠けた肌や瞳、銀色の体毛が特徴の高級種。
今回のショップ閉店に伴い、透子自らが買い上げた。
透子曰く「頭の良い子」であり、実際に人間の会話を理解しているような節もある。

 

(あらすじ、キャラクター紹介はFANZAより引用)


―感想―

癒し。とにかく癒し。そこに優しさと少しだけ切ない気持ちを含んだ、あったかいお話しでした。
まず、タイトル画面とそこで流れる歌が、この世の優しさを全部集めてきたのでは?と、思うくらいの雰囲気を出していました。
拙者、タイトル画面で歌が流れるの大好き侍と申します。


トノイケダイスケさんのゲームは、水月のみ遊び終わっています。
水月はストーリーや雰囲気が凄く良くて、それはもう感動しました。
それからファンになったのですが、とは言っても水月からトノイケダイスケさんのゲームを購入していなかったので、久々に遊ぶことになりました。
そして、再実感しましたね。私はトノイケダイスケさんが大好きだ―――!!って。
もうね、本当に雰囲気作りが上手い。あっという間にお話に引き込まれます。
キャラクターの造形も素晴らしくて、みんな生きてます。
生き生きというより生きてるって表現が合うくらい生きてます。

このお話しは主人公と透子さん、ワンコとリリーで散歩をするのがメインです。
散歩をしながら、主人公と透子さんが思い出を語ったり、ワンコ達の様子を見守ったりします。
ワンコとリリーというタイトルですが、メインヒロインは透子さんです。おほほ。
まあー、とにかく透子さんが可愛いのですよ。
お姉さんで幼馴染で、優しいけどちょっと意地悪してきたり、お茶目な部分もあって完璧です。
お互い好き同士なんだろうなと、何となく感づいているけどちゃんと好きだとは言ってないので、そんな微妙な関係が会話に滲み出ているのが良いんですよ。
昔からの付き合いだから軽口も言い合えちゃうので、ちょっときわどい事も言ったり。
そこがもの凄くじれったくて、控えめに言って最高。
ちなみにキャラ紹介でわかるように、ワンコ達は人の姿をしています。
その理由なども含めて、ワンコ達の説明が一切ありません。
人の言葉を理解したり、微妙ですが喋る事もあるので、ただの擬人化というわけでもなさそうです。
まあ今更こういう設定は、大した事ではないので深く考えませんでした。
ただ、話を読んでいくと、ペットショップで売買されていたり殺処分もされているらしく、ドキッとする現実を見せられます。
人の姿をしていても、あくまでワンコ達はペットという扱いという事がわかります。
このゲーム、そういうドキッとする部分がふいに出てくるんです。
なので、ただ優しいだけではなく少しだけ胸に刺さったり、モヤッとなって考えさせられたりする事もあります。
ですが、そういう部分はふいに出てきたと思ったら、すぐに違う会話になってまた日常へと戻っていきます。
何でもない散歩を、こんなにも優しくて素敵なお話しにしてしまうトノイケダイスケさん、本当に凄いです。
もちろん、エッチシーンも非常に丁寧に書かれていて大満足です。
初めて同士なので、初々しいエッチなんですけど内容が凄く濃くて甘々で、透子さんなんてトロトロにとけきっちゃっています。トノイケダイスケさんだからお漏らしもあるよ(コソッ)
普段は主人公にお姉さんとして接しているのに、エッチの時はもう可愛い少女って感じで、しかもそんなお姉さんがエッチの最中にお漏らしをしちゃうんですよ?これは悶えますね。クリーンヒットです。
ワンコとリリーもエッチシーンはありますが、ぺろぺろだけです。挿入シーンはありません。
これはあくまで、ワンコとリリーがペット扱いだからでしょうね。なので、線引きはされているのだと思います。
ですが、何も知らないワンコとリリーがぺろぺろしてくれる姿は、とても愛らしくてたまりませんよ!
後、この2人にもお漏らしがあります。(シャキーン)

 

私の中で、犬耳少女と言ったら桜沢いづみさん。
初めて買った桜沢いづみさんの同人誌が、オリジナル犬耳少女だったんですよね。
なのでずーっとその印象があった中でこのゲームだったので、昔の記憶が蘇りましたよ。
そのオリジナル犬耳少女もワンコっぽい見た目でしたし。
このゲーム以外でも犬耳少女の原画をやっているみたいなので、桜沢いづみさん=犬耳少女の印象を持つのは共通認識という事ですよね、きっと。

 

 歌もBGMも雰囲気に合っていて良かったですね~。やっぱりタイトルで流れている『Especially for you』が私は1番好きです。
イントロが可愛くて砂糖菓子のような、ふわふわした感じなので聞いた瞬間、顔がふにゃってなります。
歌詞も歌声も優しくてじんわりと心に染みていくんですよ。もうタイトル画面から何度動けなくなったことかッ……!

 

 

===ここからネタバレ感想です===

 

 

「わからないことをわかるのって、基本的には怖いことだしね」
透子さんの、このセリフに凄く共感しました。
行ったことのない場所、食べたことのない物、会ったことのない人など、初めてのことや知らないことって本当怖いですよね。知ってしまえばどうってことはないのですが、知るまでは本当に怖い。
他にも透子さんには名言が多くて、
「いいんじゃないかしら。余計なことを考えなければ世の中って意外とシンプルなものだわ」
「本当のことなんて誰にもわからないのかもね。でも、誠一くん。自分の本当だけは、自分で決めてしまうことができるのよ」
など、まだまだたくさんあります。
しかも名言の後、主人公とのやり取りも優しく答えに導いたりするので、透子さんマジ素敵なお姉さん。
だけど、告白の時は自分からは何も言わず、主人公から言ってもらうために少し意地悪な言い方をしちゃいます。
自分は告白もキスもエッチも、最初は全部してもらう側でいたい。王子様に優しくされたい。だからちゃんと言わないとわからない。
お互い好意を隠さなかったり手を繋いだり、外から見ればもう恋人同士のようなものだったけど、それでも言葉にして言ってもらいたかった。ごめんなさいねと謝りながらも、それだけはきちんと言ってもらわないとわかれない、だからずっとわからなくてわかりたかった。本当に、ごめんなさいね意地悪な女で。ってこういう事言うんですよ、透子さん!
主人公への好きって気持ちが溢れているけど、でもでも最初はやっぱり先に好きって言ってもらいたいって、可愛すぎる!!もの凄く、理想の幼馴染のお姉さんですよね。

エッチでお漏らしをして、泣いちゃう透子さんが激カワです。
しかも次の日、その臭いが残っているからと、自分で掃除をする透子さん。萌えますね……。
リリーが部屋の臭いに、鼻を押さえて逃げ出した事と、それを見てショックを受ける透子さんのシーンが、リアルっぽくて良いです。絶対に1人で掃除するって言い張るところもキュート。
自分のおしっこを人に掃除してもらうほうが恥ずかしいよね(笑)
なので、2回目のエッチは頑張っておしっこを我慢したと、終わってから教えてもらえるんですけど、そんなのずるいよ……可愛すぎるじゃんか……。

 

このゲームで少し、自分に刺さった部分が2箇所ありました。
まず1つ目が、リリーが賢すぎるため周りに遠慮をしてしまうところ。
ワンコは幼児並みの知能のため、自分の欲には正直に動いてしまいます。
まだ幼いので、本来ならその行動は当たり前ですが、リリーは幸か不幸か他のワンコより賢いんですよね。
だから、ワンコは自分のアイスをさっさと食べ終わると、ゆっくり食べているリリーのアイスを物欲しそうに眺めます。リリーはそれに気づくと、自分のアイスを差し出すのです。
このシーンを見て、ワンコはバカ正直で可愛いなあと、のほほんと見守る事ができませんでした。
もの凄く理不尽だと思いました。自分のペースで食べているリリー。
それは何も悪くない事なのに、自分のアイスをずっと見つめられている事に気づくと、アイスをワンコに差し出してしまう。
もちろん差し出さなくても良いのだが、もしもアイスをあげなかった事でワンコが泣き叫んだり、暴れだしてしまうかもしれない。
そしたらその場は大変な騒ぎになって、リリーは何も悪くないはずなのに気まずい思いをしてしまいます。
きっと賢いリリーですから、それくらいの事は考えると思います。
ワンコだから、まだ子供だから、そいつは面倒な奴だからと周りが気を使って丸く収める事はよくありますが、理不尽なものは理不尽です。
私はこういう理不尽によって、可哀想になっている姿を見るのが凄く辛いです。
だけど良かったのは、主人公がワンコにリリーのアイスを欲しがるなと、きっちり注意をした事です。
しかもその後、自分のアイスをワンコにあげて、リリーにも半分あげるところが流石だなと思いました。
ワンコだけではなく、きちんとリリーのフォローもする。
更にその後も主人公は、リリーが天気なのに雨が降るという事に怯えている理由も性格もちゃんとわかってあげて、わかったうえでリリーに「怖かったら怖いって、わかるようにしてくれたらいいんだぞ」と言葉にして伝えてあげているのが素晴らしいです。
この主人公を見ていると、ワンコをしっかりと導いてくれる良い飼い主なのだと感じました。
ワンコも今はまだわがままが多いですが、ただわがままなだけではなく消極的なリリーの中にに飛び込んでいき、色んな事を一緒にやろうとぐいぐい引っ張ってくれています。思いやりだって持っています。
自由なワンコと遠慮がちなリリー、もしかしたら相性が凄く良いかもしれないと思いました。
こういう事があった後でリリーがね、主人公に笑いかけてくれるんですが、それがめちゃめちゃ可愛くて胸を貫かれました。主人公が言ってた「どうしてこう極端なんだ…女の子っていう生き物は。」というセリフに激しく同意します。

 

次に感じた2つ目の引っ掛かり、それは父親の態度でした。
主人公の父親が亡くなってから見つかった日記。
その日記で、父親が今まで主人公に対してどう思っていたのかが、わかったのは良かったかもしれませんが、こういうのは個人的に卑怯だと思う。
今まで父親を嫌いという感情で生きてきた主人公。
その日記が出てきた事によって、主人公の時間を無駄にさせてしまったと思います。
日記には『頑張らなければ』『私には資格がない』『唯一の罪滅ぼしだ』など、父親の苦労や悲しみが綴られていましたが、そんな事を日記に書くくらいなら主人公にちゃんと話してほしかったです。
日記を読むと、ちゃんと準備が整ってから主人公に言うつもりだったように見えます。
先に言って、ぬか喜びをさせたくなかったというのも考えられますが、やはりそこはしっかりと主人公に話をしておくべきだったと思いました。
そうすれば今よりも主人公と父親は良好な関係を築けただろうし、父親と母親も離婚をしなかったかもしれない。何より、主人公に心の傷をつけなかったと思いますし、父親が嫌いという感情に時間を使う事もなかったでしょう。
普通ならこういう場面は感動するのところですが、死んでから気持ちがわかっても素直に感動できません。
むしろ知らずにいられたら、最後まで嫌いなままでいさせてくれたらと、私はモヤモヤしてしまいました。
この主人公も「こんなのは…卑怯だ。どうして口で言わないんだよ」と言っています。
一緒に日記を読んでいた透子さんが「…うん。でも、そういうことってあるわ」と。
「知ってるよ。知ってるけど…」僕はもう、何も言えない。言いたいことをこんな風に別の形で残して、あの人は遠くに行ってしまった。
自分は死んで、残された主人公をこんな気持ちにさせるのは、本当にずるいと思います。
ただ、この後の主人公はショックを受けつつも、気持ちの整理をしてお墓参りに行くと決めます。
その時の透子さんとの会話が「…そうだね。こんなの、文句の一つも言ってやらなきゃ気がすまないよ。この…バカ親父…ってさ」「そうねー、ガツンと言ってあげたらいいと思うわ。きちんと形にしないとわからないことって、あるものね」「うん。ホント…そうだ」この会話から、主人公はしっかり口で気持ちを伝えていくと、思わせてくれますね。
ここまで書いて思ったことは、父親は主人公にこれ以上嫌われたくなくて、だいぶ臆病になっていたんだなと。
だから口で伝えられない代わりに、日記という形で思いを残したのでしょう。
自分の口から思いを伝えるのは、凄く勇気のいる事です。それは凄くわかります。
でもやっぱり、父親には主人公にちゃんと思いを伝えてほしかったなと思いました。

 

最後の締め方なんですが、バイトを始めたい主人公だが、ワンコ達にお留守番をさせるのは不安が残る。
預かる場所がないのかと透子さんに聞くと、資格も必要になるためまだ一般的にあるわけではないと言われる。
それならばと、資格の勉強をして自分でワンコ達の託児所を作ろうかと考える主人公。
幸いにも、父親が残してくれたお店が残っている。
この流れ、完璧ですよね?こんなこと言われたら、透子さんじゃなくても主人公に抱き着きますよ!
父親がやっていたペットショップのお店を、今度は主人公がワンコ達の託児所として使う。
そして透子さんも一緒にそこで働いて、ワンコ達の面倒もついでに自分で見れる。
100点満点の締め方!もう最高すぎて、手を合わせて拝みました。
本当に、良い時間を過ごさせてもらえたゲームでした。トノイケダイスケさん大好き……。

 

Gardenは買ったほうが良いのかなぁ……。